格子体積が変化しないバナジウム系高容量電池材料
~実用的な全固体電池実現に前進
Li過剰V系岩塩型材料開発と超長寿命?実用的全固体電池に応用

 横浜国立大学 藪内直明教授、小沼樹博士課程大学院生、LIBTEC幸琢寛主幹研究員、高輝度光科学研究センター 尾原幸治主幹研究員、茨城大学 石垣徹教授、豪州 ニューサウスウェールズ大学 Neeraj Sharma准教授らの研究グループは、リチウム過剰型バナジウム系酸化物材料を開発し、本材料が高容量でありながら、充放電時の格子体積変化を生じないことを明らかにしました。また、本材料を硫化物系固体電解質と組み合わせることで400サイクルに渡り特性が劣化しないことを立証しました。全固体電池実用化の壁となっていた格子体積変化の抑制は実用的な超長寿命?高エネルギー密度の全固体リチウムイオン電池実現に繋がる研究成果です。
 本研究成果は、英国の科学雑誌 「Nature Materials誌」に2022年12月13日(日本時間)にオンラインで掲載されました。

詳しくはプレスリリースをご覧ください。

研究成果

 リチウムイオン蓄電池の市場が急拡大しており、電池のさらなる高エネルギー密度化を目指して、研究開発が行われているます。また、リチウムイオン電池の電解液に固体電解質を用いる全固体電池実用化への期待が高まっています。全固体電池は急速充電可能?高エネルギー密度化?長寿命化など多くの利点が得られる夢の電池として期待されており、世界中で研究開発競争が行われています。しかし、一般的な電池材料は充放電時に酸化還元反応とリチウムの脱挿入が行われる結果、格子体積が大きく変化するため、固体である電池材料と固体電解質との安定な界面形成が困難であるという問題が知られていました。その解決のために、現状では電池に非